【エッセイ 小説】学生時の「音読」でシャイになる

エッセイ

国語の授業の「音読」が嫌いだった。

わざわざ、「立たせて、文章を読ませる拷問」と思っていた。

俳優や女優、声優になりたいのなら、意図は分からなくもないが、給食と遊びとお菓子しか興味ないボクの様な、低脳に音読させるのはよく分からなかった。

まず、自信がないので声が小さくなる。


シャイな女子など、立つのも恥ずかしいらしく、座りながらボソボソとテレビの音量3の様な、誰も聞き取れない早口でまくしたてる。

これはこれで肝が据わっていて感心するのだが

問題なのは、自信満々で漢字の読み間違いをしてしまった時だ

清々しい!【きよきよしい】自信満々で音読すると、クラス中が嘲笑に包まれる。

何なら教師も笑って、ツッコミを入れるくらいだ!

アホか!

自信満々に音読した事を教師は見定めるべきであるし、失敗は成功の元なんだろ!と毒づく。

失敗を恐れるあまり、これは自信ないなーって漢字が登場したら、その漢字の前まで音読をして、教師が読み方を教えてくれるまでダンマリする!

これが一番安全なのである。これで、挑戦もしない逃げ一択の人格が出来上がりだ!

しかし、好きな女の子がクラスにいる時は、また違う問題が顔を出すのである。

「難しい漢字」を、サラリと読み上げ頭良くてカッコイイ!と思われたいのである。

なので、前日に教科書を読み、読めない漢字を親に聞いて、ふりがなを打つのである。

これで、準備万端である!

さぁ、いつでもボクを音読に指名してくれ!

そして、右手を上げていつもの1.5倍の勢いで、手を上げて!教師の指名を勝ち取り、

ドラえもんの【出来杉くん】をイメージして、堂々と読み上げる。

難しい漢字が近づいてくると、クラスの空気がピリつく!どーせ読めなくて、止まるんだろ!という空気が流れる

その空気を一刀両断する様に、

月極駐車場【げっきょくちゅうしゃじょう】

と振り仮名を書いた教科書を読み上げる

途端に、クラスで大爆笑が巻き起こる。やっぱり!やりやがったよ!このポンコツ!である

しまった。母親に読み仮名を聞いたのであった。
父親は教師の資格を持って、博識なのであるが、母親は明らかに勉強は得意でなかった。

ボクはしょんぼりと席に座わり、【げっきょくちゅうしゃじょう】と書いた振り仮名を消しゴムでさりげなく消す

やはり音読は嫌いだ

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